高島市 移住者・豊かに暮らす人達インタビュー

地域の人と外の人とが交流できる場を作り、他業種との連携を通して地域経済を回して高島を盛り上げたい

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高島では集落の家ごとに屋号があります。「たらいち邸」。マキノ町上開田に遺されていたこの古民家を使って体験型の農家民宿を営む河野さん。単なる観光としてではなく、地域の人たちを巻き込み、他業種の方と連携して、高島市を盛り上げたい、そんな思いが高島いいことグランプリ2019最優秀賞の受賞につながりました。河野さんが目指す地域起こし、移住に込める思いとは?

河野至宏さん たらいち邸 共同代表 河野至宏さん
たらいち邸

高島市との関わり、暮らし

-高島市に移住したきっかけは?-

学生時代に高島にボランティア 活動で関わるようになったのがきっかけです。それで高島市が好きになり、2016年4月に移住しました。軽い気持ちで来てしまったので、自分の中では移住というより、引っ越しという感覚でした。

 

-高島市のどこに惹かれたんですか?-

山があって川があって、目の前に湖があるという環境は、日本全国を見てもそうそうないと思います。

古き良き文化がまだ残っているという事もあると思います。人柄が温かい。自分の若さかもしれないが、みんなが気にかけてくれる。良くも悪くも心配してくれる。よく田舎はおせっかいだと言うけれど、まさしくそんな感じ。嫌なお節介を受けたことはないんです。

 

高島市は発酵の町なので、鯖寿司や鮒寿司、この地域はウグイという川魚を使ったなれずしを守ってきているので、地域地域の面白さというのもあります。高島市は面白いものが点在しているイメージなんです。

地域で言い伝えも違っていて、この地域ではカメムシが多いと雪が多いとか。でも山の向こうに行くと逆だったり。地域ごとに違っているのも面白いと思いますね。

 

-移住して不便だった事は?-

移動手段ですね。電車なんて1時間に一本しかないし、終電は11時までしかないし。なので車がないと本当に生活できません。卒業して一番最初に何を買ったかっていえば車ですからね。

山の風景

山の風景

-雪はどうですか?-

やってみて思ったのは、みんな私がやってることに興味を持ってくれるし、とても協力的なんです。今畑楽会っていうグループで活動してますけど、皆さん協力的ですよ。

 

去年と今年はほとんど降りませんが、例年は屋根からの雪と地面に降った 雪とが繋がるぐらい降りますね。そうすると朝早く起きて雪かきして、仕事から帰ってきたらまた雪かきしてっていう感じです。集落の中の道には融雪装置が付いているので、雪が降ったらセンサーで水が出るんですよ。それはもう高島中そうですね。ほぼ9割ぐらいは通っているんじゃないですかね。

でもこの地域からすると雪は降って欲しいんですよね。雪が降ると雪解け水が来て、それで畑や田んぼができるというのがこの地域の特色です。なのでお米はめちゃくちゃうまいです。この上開田の集落の米はとても美味しいですね。

-地域の人達との関わりで気をつけたり意識していることはありますか?-

 

4年ぐらい住んでて気づいたのは、こっちからも頼らなくてはいけないということですね。地域の人って頼られるとみんな嬉しいんですよ。なのでうまく地域の中でやっていける人って、地域の人たちと色々と協力してやれる人なんですよね。

都会みたいな感じで、ただ自分だけで住んで、仕事をしてってやると、出る杭打たれるんで。でも地域の人を巻き込んでやっていくと、その地域の人って、もうその人を打てなくなるんですよ。面倒見てるし。可愛い移住者やしとかいうような感じになってくるので。

なので頼られ、頼るという関係性を築くことを意識してますね。頼ってもらうところは頼ってもらい、こっちも出来ないことは頼って。こういった関係づくりは大事だなと思います。それは意識してます。

たらいち邸に対する思い

-たらいち邸を始めた経緯は?-

最初は勤めていたのですが、この古民家を使った仕事がしたいなあと常々思っていて、そこで選択肢に上がったのが喫茶と宿の2つでした。先に宿の方を始めて喫茶が後に続きました。

高島の良さを味わってもらいたいなという思いが強かったんです。田舎の良さって何かと言うと、静けさだったりとか、自然と触れ合うことだったりとかじゃないですか。それが体現できるビジネスモデルが何かと考えた時に、貸切の古民家で、かまどでご飯が炊ける、豆腐が作れるという農家民宿にたどり着き、2018年11月にオープンしました。

室内

土間を上がったところにある囲炉裏

囲炉裏

土間を上がったところにある囲炉裏

それで色々な人が入ってくるようになって、集落の人も抵抗がなくなってきた感じになってきたので喫茶も始めました。

もう1つは、集落にお金が落ちるような仕組みを作りたいんです。なのでお米とかも全部集落のものを使ってますし、野菜は滋賀県産のものをなるべく使っています。米が美味しくて買ってくれれば集落にお金が落ちる。そういうこともしていきたいなという思いがあったので。

-勤めている時から考えていたんですか?-

そうです。僕は高島の移住者を増やしたいとはあまり思ってなくて、高島に関わる人達をどんどん増やしていきたいと思いが強かったので、高島好きを増やすっていうのが僕の思いなんですよね。根本にあるのは。

高島が好きなので何度でも足を運ぶ。で、何度も足を運ぶと、その地域ってなくならないんですよ。仕事が生まれるし、じゃあ住んでみようかなって絶対になるので。

移住者を増やすのが目的ではなく、高島好きを増やす。そうすることによってその地域が存続していくので。

移住者を増やすのが目的ではなく、高島好きを増やす。そうすることによってその地域が存続していくので。

働きに出ている時からずっとそういうことがしたいなと思ってたんですよね。その一助を担うのが農家民宿。日帰り観光が大半だけど、そうではなくて一泊できる宿をゴールに来てもらう。その前後で高島の観光地に寄ってもらうというスタイルにする方が、高島をより深く味わってもらえるという思いもあります。

この宿を利用される方は、ここを目的にされる方が結構います。8割ぐらいはこの宿に泊まりにきましたっていうお客さんですね。

-地域の酒蔵さんともコラボしていますが、異業種のつながりを作っていくとことを意識しているんですか?-

そうですね。僕一人で出来る事ってすごく限られているので。でも高島って宝庫なんですよね。面白いことをやったりとか。でも高島に限らず、日本全国どの地域でも宝庫なんですけど、それを普通の人は見つけられない。埋もれているので。

そういうところを発掘して、それを連携という形で面で展開していく。この宿を中心に色々な所と協力していくことで、面として展開できるので、そういうところを強化していきたいなと思ってます。

屋根裏1

屋根裏部屋

屋根裏2

屋根裏部屋

-たらいち邸はこれからどういう方向性を目指しますか?-

地域の人と外の人とが交流できる場というか、関わり合えるような環境作りをしていきたいなというのが一番強いですね。結局田舎に移住する時に何を見るかというと、人柄を見て欲しくて。

その地域の人と触れ合うことでこそ、その地域らしさを感じられるので、移住云々ではなく、例えば好きになってもらえる入り口として、自然+人っていうところをしていきたいなと思ってるので。

この喫茶をやっている理由の一つもそこにあって、田舎の人が来て、ちょっと外からの人が来て会話が生まれる、みたいな事もしていきたいなと思ってます。

地域の人を呼んで一緒にご飯を作るとか、発酵でウグイのお寿司を一緒に作るとか、そういうことを今後していきたいなあと思っているんですけど。僕としてはそういう関係性をどんどん増やしていきたいというのが最終的なゴールですかね。

移住に対する思い

-移住に対する思いは?-

多くの自治体が移住者を呼び込もうとしていますが、相対的に見て無理じゃないですか。そういう取り組みは大事ですけど、人口が全体的に減っているのに、移住者を増やそうというのは、自治体同士で奪い合いになってしまうので無理なんです。

そうではなくて、拠点はどこでもいいんですよね。だけど高島に帰ってきましたという人が増えれば、人口を増やすことが可能なので。例えば京都に住んでいて高島に年に2〜3回来ます。で、他の地域にも行きますっていう人が増えていくと、トータル的に高島に関わってくれる関係人口が増えるので、そこを目指していきたいと思います。

 

-移住する人が心配するのは働く場所があるかだと思うのですが?-

それはあると思います。でも考え方によっては働き場所を自分で作ることもできるわけです。日本全国人手不足なので働き口はあるんですよ。あるんですけど、土木 建築、農業がほとんどです。あとは個人でやってる小さな職場になってしまう。

高島だと平和堂とかありますし、職を選ばなければ働く場所はあります。でもよくイメージするサラリーマンのような職場はないので、働き場所がないという風に思われがちかなあと思います。

--1歩をどう踏み出せるかですか?―-

行動しないと何も始まらないですもんね。始めたらやるしかないので。あと戻りできないですから。やってみないとわからないので、トライ&エラーの繰り返しですね。

よくみんなにすごいなって言われますけど、そんなにすごいことしてるわけじゃなくて、ただ移住したっていう事実に後から色々な事がついてきたみたいな感じなんで。

--移住を検討している人にアドバイスがあればお願いします。-

自分は移住の形には3種類あると思っています。 1つ目は僕みたいに村にポンと入るタイプ。2つ目はちょっとした郊外に行く。そうすると交通の便や買い物する場所が少ないという事だけで、都会の生活と変わらない。3つ目は別荘地に行って人との関わりを少なく生きる。

いきなりは決断できないので、自分が気になる地域へ行ってみて、仕事出来る場所があったら仕事してみる。それで自分が思い描いている理想の移住生活って何だろうなって考えてみることですね。

屋根裏1

ご飯を炊く河野さん

屋根裏2

喫茶スペース

俗にいうスローライフとか、ちょっと畑とかを耕してのんびりしたいっていう人は、こういう集落に来てはだめです。草刈りとか村の行事に出なくてはいけなくて、逆にめちゃくちゃ忙しいですよ。それに人とのコミュニケーションはすごく濃密なので、それで失敗する人は結構いるようです。そういう人は別荘地に行くのが思い描くスローライフのベストな選択です

何を捨て、何を取るかだと思います。月給は下がるのは当然ですし、そんなあれもこれも得られるような好条件なら、みんな田舎に来てますよね。働き場所が豊富で、給与も良くてってなったら、絶対みんな田舎に来てますよ。